包装こぼれ話Packaging Sidestories

  1. TOP
  2. 包装こぼれ話
  3. ブリスターとは?種類ごとの特徴や素材・製造工程などを紹介

ブリスターとは?種類ごとの特徴や素材・製造工程などを紹介

製品の包装にはさまざまな種類がありますが、売り場での製品の訴求力を高めたい場合はブリスターが有効です。
ブリスターは内容物に合わせて形作った透明パッケージのため、売り場で製品の色や形状をきちんと確認することができます。

この記事では、ブリスターの特徴や用途について詳しく解説します。ブリスターの種類や主な素材、製造工程などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

ブリスターとは

ブリスター包装はPET(ポリエチレンテレフタート)やPVC(ポリ塩化ビニル)などのプラスチック包装材で構成され、幅広い用途に使用されているものです。
ここではブリスターの特徴や用途について詳しく解説します。

ブリスターとは

ブリスター(Blister)は英語で水膨れを意味するもので、プラスチック素材でできたクリアケースを指します。
製品に合わせて形状を自由に成形できるため、幅広い用途に用いられている点が特徴です。
加工方法には差し込みタイプや熱圧着タイプ、開閉式タイプなどがあります。

ブリスターの特徴

ブリスターは透明パッケージのため、製品の色や形状がはっきり見えるという特徴があります。
製品の色や形状が見えることで消費者の購買判断に役立ったり、製品のディスプレイ性を高めたりといったメリットが得られるのです。中身が見えることにより、消費者が安心して製品を手に取ることができることも大きなメリットとい言えます。

また耐震や衝撃による破損を防いだり、水やホコリなどの汚れから製品を保護したりといった特徴もあります。
売り場で製品そのものをアピールしたい場合や消費者が安心して手に取ることができるパッケージにしたい場合などに適した包装といえるでしょう。

ブリスターの用途

ブリスターは熱や湿気への耐久性、酸素・湿度の遮断、偽装防止などの機能性を持ち、幅広い用途に使用されています。
具体的には医薬品や化粧品、電子機器、玩具製品などに使用されるケースが一般的です。

中身を見せられることがブリスターの大きな特徴であるため、製品そのものをアピールすることで販促につながる製品に使用されることが一般的です。

関連記事:医薬品包装の役割とは?用途や種類、保護機能の実例についても解説
     化粧品の包装に関する規則とは?容器の基準、種類や包装を作るときのポイントについても解説

ブリスターの種類

ブリスターには以下の5つの種類があります。

  • 熱圧着型ブリスター
  • スライドブリスター
  • シェルパックブリスター
  • トリプルパックブリスター
  • クラムシェル式ブリスター

ここでは上記5つそれぞれの特徴について解説します。

熱圧着式ブリスター

熱圧着ブリスターは、成形したブリスターパックと台紙の間に商品を挟み込み、熱圧着でくっつけたものです。

ブリスターと台紙の間の隙間をなくすことができるため、運送中に製品が外に飛び出てしまう心配がありません。
また製造工程においてもメリットがあり、成形品に台紙を密着させるためホチキス止めなどの後処理を行う必要がありません。
さらにスライドせずに台紙を取り付けられるため、パッケージ設計の自由度を高めることができることも魅力的なポイントです。

化粧品や医薬品、ボタン電池、芳香剤、ビーズ、接着剤などによく使用されます。

スライドブリスター

スライドブリスターは、成形品の両サイドを折り曲げ、その隙間から台紙をスライドさせてセットするものです。

製造工程が容易なメリットがある一方で、ブリスターの折り目に台紙を差し込んでいるだけのため、商品の落下や盗難などのリスクがあります。このようなリスクを低減するためには、台紙をホチキスやセロハンテープで止めるなどの後処理が必要です。

売り場でのメリットとしては商品の形状を立体的に見せることができる点が挙げられ、差し込む台紙も自由にデザインできるため、競合品との差別化がしやすい特徴があります。

主に文具や安全カミソリ、ヘアブラシ、玩具などに使用されるケースが一般的です。

シェルパックブリスター

シェルパックブリスターは二つ折りブリスターとも呼ばれ、透明なプラスチックケースに製品と台紙の両方を挟み込むものです。

表裏の両面から商品が見えるのが特徴で、訴求効果を高めやすいメリットがあります。
さらに吊り下げ用の穴が開いていたりスタンド式で立てて陳列できたりするものもあり、スペースを有効活用して陳列可能です。嵌合部分を閉じるだけでセットアップできるため、製造が容易であることも大きなメリットといえるでしょう。

主にドアノブや工具類、事務用品などに使用されるブリスターです。

トリプルパックブリスター

トリプルパックブリスターは三つ折りブリスターとも呼ばれ、透明なプラスチックケースを三つ折りにしたものです。

自立できる形になっている点が特徴で、シェルパックブリスターと同様、表裏両面から製品の外観を見ることができます。
製品そのものの訴求力を高めたい場合や売り場スペースを有効活用したい場合などに適しています。

主に文房具や化粧品、フィギュア、玩具などによく使用されます。

クラムシェル式ブリスター

クラムシェル式ブリスターはパック式ブリスターや嵌合式ブリスターとも呼ばれ、ブリスターの表面と裏面を折りたたんだものです。

表裏両面から製品の外観を確認できることに加え、一体成型加工のため高い強度を持つ特徴があります。
さらにパッキング作業も容易であるため、製造工程にかかる労働コストを低減することが可能です。

主に文具や工具、玩具、部品類、釣り具類などによく用いられます。

ブリスターの主な素材

ブリスターの主な素材

ブリスターに使われる主な素材は以下の3つです。

  • PET(ポリエチレンテレフタート)
  • PVC(ポリ塩化ビニル)
  • CPPP(無延伸ポリプロピレン)

ここでは上記3つの主な素材に加え、蓋部分に使われる素材の特徴について解説します。

PET

PET(ポリエチレンテレフタート)は、ペットボトルに使用されている素材です。
耐熱・耐寒性、耐水性、透明性、耐薬品性、再生性が高い特徴があり、幅広く使用されています。
上記のような特性から、医薬品や化粧品のブリスターパックに活用されることが一般的です。

またPETは再生性が高いことが特徴の一つで、リサイクルが推奨されている素材でもあります。リサイクルは製品を粉砕して洗浄し、ペットボトルやブリスターパックなどの原料として再利用することで、環境負荷を大幅に低減できます。

また万が一リサイクルできず焼却した場合でも、PETは酸素・水素・炭素で構成される素材のため有害な化学物質を出しません。PETは環境にやさしい素材といえるでしょう。

PVC

PVC(ポリ塩化ビニル)は塩ビとも呼ばれ、五大汎用樹脂の一つで汎用性が高い素材として知られます。透明性や耐薬品性に優れています。他の素材と比べると性能が特段優れているわけではありませんが、素材そのものが安価であるため、費用を抑えたい場合に最適です。

ブリスターパックの他には、ホースやラップ、サッシなどの用途でも用いられています。

しかしPVCは低温で燃やすと有害物質が生じる恐れがあるため、海外の一部地域では制限が設けられています。
日本では制限はありませんが、リサイクルが推奨されている素材です。

医薬品以外のブリスターパックでは現在あまり使用されていません。

CPP

CPP(無延伸ポリプロピレン)は、引っ張ると伸びる性質がある素材です。
耐摩耗性やヒートシール性、耐水性、耐油性、耐熱性などに優れている特徴があり、包装で特に重宝されています。

フィルム素材としてもよく用いられるCPPですが、中でも比較的生産性が高い特徴があります。
コストを抑えながら生産できるため、大量生産に適した素材といえるでしょう。

蓋部分に使われる素材

ブリスターの蓋部分に使われる素材には、アルミやPS(ポリスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタート)などがあります。

アルミは防湿性や遮光性、熱伝導性、断熱性に優れており、医薬品によく用いられる素材です。
PSはスチール樹脂とも呼ばれ、原油・ナフサを原料としてスチレンモノマーを重合して作るプラスチック樹脂です。
PETは安全な食品包装材料としての使用が認められている素材でもあるため、食品包装用途として用いられることが一般的です。

ブリスターの製造工程

ブリスターの製造工程は以下の通りです。

  1. 加熱
  2. セット
  3. 成形
  4. 冷却
  5. 抜き・トリミング
  6. 後加工

ここでは上記6つの工程についてそれぞれ解説します。

加熱

ブリスターを製造する最初の工程では、使用するプラスチックシートを適切な温度まで加熱します。加熱することでプラスチックシートが柔軟な状態になり、容易に成形できるようになるのです。

通常は専用の加熱装置を使用し、均一な温度で加熱します。温度が均一でない場合、最終製品に不均一な部分が生じる可能性があるため、精密な温度管理が求められます。

セット

加熱されたプラスチックシートを金型にセットします。

シートを適切な位置に配置し、正確に成形されるように調整することが重要です。
シートが完璧にセットされていないと、成形の際に不具合が生じる恐れがあるため、慎重に取り扱う必要があります。

成型

加熱されたシートを金型に密着し、シートと金型の間を真空状態にすることで特定の形状に成形します。

真空成形と呼ばれる成形方法で、成形機には成形する場所で熱を加える「半自動機」と先にフィルムに熱をかけてから成形する「連続成形機」があります。またフィルムの上からエアー圧をかける圧空成形と、上下の金型の圧力のみで成形する方法などがあり、製品の形状やロットに合わせて選択可能です。

冷却

成形が完了した後、成形品を冷却し金型を取り出します。

抜き・トリミング

成形品には余分なプラスチックシートがついているため、この部分を切り抜く必要があります。

断裁されたシートを抜き型にはめ、複数枚または1枚抜きで余分な部分を切り抜きます。抜精度を高めたい場合は、1枚抜きが適しています。数の多い食品用成形では、パンチャーを使用した抜き・トリミングを行う場合もあります。

後加工

製品によっては、抜き・トリミング後に曲げ加工や熱圧着などの後加工を行う場合があります。

曲げ加工とは、台紙幅に合わせてプラスチックシートを折り曲げる加工のことです。
手で曲げる場合と自動機で曲げる場合があり、曲げ方にも「二方曲げ(左右を曲げる)」「三方曲げ(左右+上下どちらか一方を曲げる)」「四方曲げ(上下左右を曲げる)」などがあり、製品に合わせて行われます。

熱圧着は台紙とプラスチックシートを貼り付ける加工のことです。
ブリスターや台紙の形を自由に設計できるため、医薬品や化粧品、乾電池、接着剤など幅広い用途に用いられています。

このように製品に合わせて後加工を行った後、納品となります。

まとめ

ブリスターはPET(ポリエチレンテレフタート)やPVC(ポリ塩化ビニル)のプラスチック包装材などで構成されるもので、透明のため商品の色や形状がきちんと見えるという特徴があります。熱圧着型ブリスターやスライドブリスター、シェルパックブリスターなど、さまざまな種類があるため、製品の形状や訴求に合わせたものを選べる点も魅力的です。商品の訴求力を高めたい場合や消費者が安心して手に取ることができるパッケージにしたい場合などに適した包装といえるでしょう。

株式会社カナエでは、ブリスターを多く取り扱っており、製品の形状や性質に合ったパッケージをご提案可能です。
包装についてお悩みの方はぜひ当社までご相談ください。

本記事については一般的な内容であり、当社の製品・サービスについて説明するものではありません。
製品・サービスについては問い合わせフォームよりお問い合わせください。

ページの先頭へ