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化粧品の包装に関する規則とは?種類や包装を作るときのポイントについても解説

化粧品の包装に関する規則とは

化粧品の包装には様々な種類がありますが、実は自由に設計できるわけでなく、包装のルールを定めた「化粧品の適正包装規則」に従う必要があります。

主に消費者の誤解を招きかねない「過大包装」を防ぐためのもので、化粧品包装にはこの知識が欠かせません。

この記事では、化粧品の包装に関する規則について詳しく解説します。化粧品包装に必要な許可や包装の種類などもまとめているため、参考にしてみてください。

化粧品の包装に関する規則

化粧品の包装に関する規則

化粧品包装には、公正競争規約第11条「過大包装の禁止」の実施を目的とした適正包装規則が設けられており、これを守って設計しなくてはいけません。

具体的には以下の3つの基準を守る必要があります。

  • 直接の容器の基準
  • 外部の容器の基準
  • 贈答用詰合せ容器の基準

ここでは上記3つの基準についてそれぞれ解説します。

直接の容器の基準

直接の容器の基準は以下のように定められています。

 第1条 化粧品の直接の容器は、次に掲げる基準に則した適正なものでなければならない。

 1. 外容積に対する内容物体積の割合は40%を下ってはならず、かつ、40%を下らない場合であって
   も、なお容器の形態又は材質等に応じて適正な割合でなければならない。 ただし、次に掲げるも
   のについては30%以上とすることができる
  (1)プレス製法又はプレスアンドブロウ製法によるガラス製の容器及び成型技術上二重成型が必
     要なプラスチック容器であって、何れも内容量が40グラム以下のもの
  (2)容器の形態上肉厚となることがやむを得ないものであって、次の図に示すような容器(類似
     するものを含む。)であること。

直接の容器の基準

 2. 次に掲げるものは前号の基準の数値は適用しないが、過大容器とならないよう十分注意すること。
  (1)香水、オーデコロン類であって、特殊な形態にデザインされた容器が用いられているもの
  (2)メークアップ化粧品類(口紅、眉目頬化粧料、美爪料、おしろい、ファンデーション等)
  (3)その他内容量が30グラム又は30ミリリットル以下の小型化粧品

 引用元:化粧品公正取引協議会「化粧品の適正包装規則」

化粧品の包装に限らず、消費者の誤解を招くような過大包装をしてはいけません

例えば、外観からはわからないように容器の底を上げている「あげぞこ」や必要以上に縁取りをした「がくぶち」、内装を重ねすぎている「十二単衣」などが挙げられます。

このような過大包装を防ぐために設けられているのが、上記に引用した直接の容器の基準です。外容積に対する内容物体積の割合に注意しながら包装を設計する必要があります。

外部の容器の基準

外部の容器の基準は以下の通りです。

 第2条 化粧品の外部の容器は、次に掲げる基準に則した適正なものでなければならない。

 1. 直接の容器を更に外部の容器で包装する場合に、外部の容器と直接の容器との間に不必要な空間が
   あってはならない。
 2. 直接の容器を保護するため、緩衝材が必要なときは、ダンボールにあっては厚さが4ミリメートル
   以下、その他のものにあっては、公正取引協議会が、この規則に準じて定める基準に則したものに 
   ついて使用することができる。
 3. 前号に規定する緩衝材を使用するため、包装工程上外部の容器との間に空間が生ずることとなる場
   合にあっては、包装技術上必要な限度において差支えない。
 4. 次に掲げるのは前各号の基準は適用しないが、過大容器とならないよう十分注意すること。
  (1)香水、オーデコロン類
  (2)メークアップ化粧品類(口紅、眉目頬化粧料、美爪料、おしろい、ファンデーション等)のう
     ち、コンパクトレフイル、眉目化粧料詰替等これらに類するもの

 引用元:化粧品公正取引協議会「化粧品の適正包装規則」

直接の容器と同様、外部の容器も過大包装とならないよう注意が必要です。

贈答用詰合せ容器の基準

贈答用詰合せ容器の基準は以下の通りです。

 第3条 贈答用として化粧品(化粧品以外の商品を併せて詰合せる場合を含む。以下同じ)を詰合せる 
 場合は、合理的な配列を行い、次に掲げる基準に則したものでなければならない。

贈答用詰合せ容器の基準

 1. 詰合せ容器の内壁から化粧品まで及び化粧品と化粧品との間隔は、その最も近接する部分において
   図で示す上下、左右にそれぞれ1.5センチメートル以下、深さは化粧品の上部及び下部と詰合せ容
   器との間隔がそれぞれ0.5センチメートル以下又はその合計が1センチメートル以下(ガラス製の破
   損し易い容器で直接詰合せる場合の深さは化粧品の上部及び下部と詰合せ容器との間隔がそれぞれ
   0.8センチメートル以下又はその合計が1.5センチメートル以下)とする。

1.	詰合せ容器の内壁から化粧品まで及び化粧品と化粧品との間隔
1. 詰合せ容器の内壁から化粧品まで及び化粧品と化粧品との間隔

  ただし、合理的な配列を行っても詰合せる化粧品に大小があるため、本号に定める基準によりがた
  い場合は、その部分については、これらの数値は適用しない。
 2. 贈答用詰合せ容器の枠巾は0.8センチメートル以下とする。
 3. 次に掲げるものは前各号に定める数値は適用しないが、過大容器とならないよう十分注意すること。
  (1)香水、オーデコロン類を詰合せた贈答品
  (2)一般消費者の選択に応じて詰合せる贈答品

 引用元:化粧品公正取引協議会「化粧品の適正包装規則」

上記の他、二次使用を目的とした特殊な形態の容器など、この規則を適用することが妥当でないものは、公正取引協議会がこの規則に準じて個別に査定することになっています。

化粧品の包装には化粧品製造業許可が必要

化粧品の包装には化粧品製造業許可が必要

化粧品の包装を行うには、医薬品医療機器等法に基づき、化粧品の製造業許可(許可区分:一般もしくは包装・表示・保管)が必要となります。

最近は化粧品の包装・管理のみを受託している企業もありますが、そのような企業も化粧品製造業許可がなければ事業を行うことができません。

ここでは化粧品製造業許可の概要と要件について解説します。

化粧品製造業許可とは

化粧品製造業許可は化粧品の製造を行うために必要となる、都道府県知事による許可です。この許可を得ることにより、自社工場での化粧品一貫製造、梱包、ラベル張りなどを行うことができます。

ただし化粧品製造業許可はあくまでも製造に関する許可のため、自社ブランドで化粧品を出荷するためには『化粧品製造販売業許可』を取得しなくてはいけません。

また化粧品製造業許可は以下の通り2つに区分されます。

  • 化粧品製造業許可(区分:一般)
  • 化粧品製造業許可(区分:包装・表示・保管)

それぞれの区分が行える工程は以下の通りです。

区分内容
(1)一般化粧品の製造工程の全部又は一部を行うもの((2)に掲げるものを除く)「一般」には、「包装・表示・保管」の工程を含みます。
一貫製造工程、部分委受託工程を問いません。
(2)包装・表示・保管化粧品の製造工程のうち、包装・表示・保管のみを行うもの・「包装」には、製品を化粧箱に入れる等の包装行為を含みます。
・「表示」には、法定表示を製品に貼付する等の行為を含みます。(輸入した製品の場合、邦文表示に貼り替える行為を含みます。)
・「保管」には、いわゆる分置倉庫ごとの製造行為に付随する業務(製造に係る出荷判定待ちの製品の保管、出荷判定後の保管・出庫業務等)を含みます。(外国で国内表示を行った製品の場合、国内の製造業の許可を受けた設備内で一旦、保管し、必要な試験検査を行う必要があります。)

化粧品の包装を行うためには、少なくとも包装・表示・保管区分の許可の取得が必要となります。

また注意点として、包装・表示・保管区分には小分けの工程が含まれないため、小分けを行う場合には一般区分の許可の取得が必要です。目的に合わせて区分を選択しましょう。

化粧品製造業許可の要件

化粧品製造業許可には人的要件と設備要件があります。

人的要件は一般区分と包装・表示・保管区分で共通となっており、以下のいずれかの要件を満たす人物を製造責任技術者として設置しなくてはいけません。製造責任技術者は、製造管理手順書や各化粧品の品質標準書・製品標準書に基づいて製造工程を管理し、「製造所」としての出荷の可否を判定します。

  • 薬剤師
  • 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
  • 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で薬学・化学に関する科目を修得した後、医薬品または化粧品の製造に関する業務に3年以上従事した者
  • 厚生労働大臣が上記と同程度の知識経験を有すると認めた者

また上記のいずれかの要件を満たしたうえで、以下の欠格事由に該当しないことも条件となります。

  • 薬機法での「許可の取り消し」を受けた日から3年を経過していない
  • 禁錮以上の刑を受け、執行終了もしくは執行猶予期間終了から3年を経過していない
  • 薬事についての法令や処分に違反し、違反行為の日から2年を経過していない
  • 麻薬・大麻・あへん・覚せい剤の中毒者
  • 心身の障害により、製造業者として必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない

設備要件は一般区分と包装・表示・保管区分で以下のように異なり、一般区分の方が厳しくなっています。

区分設備要件
一般区分1. 製品の製造に必要な設備や器具をきちんと備えていること。
2. 作業所は次に定めるところに適合するものであること。
  a. 換気が適切で清潔なこと。
  b. 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区分されていること。
  c. 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
  d. 防じん、防虫及び防鼠のための設備や構造を有すること。
  e. 床は板張りやコンクリートなどでできていること。
  f. 廃水や廃棄物の処理に必要な設備や器具を備えていること。
3. 製品・原料・資材を衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
4. 製品・原料・資材の試験検査に必要な設備や器具を備えていること。
包装・表示・保管区分1. 製品や資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造および設備を有すること。
2. 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
3. 製品・原料・資材の試験検査に必要な設備や器具を備えていること。

化粧品の包装の種類

化粧品の包装の種類

化粧品の包装は、一般的には、以下のような容器が普及しています。

  • 細口ボトル容器
  • チューブ容器
  • ポンプ容器
  • 広口ジャー容器
  • 塗布具付き容器(マスカラなど)
  • エアゾール容器(スプレー)
  • コンパクト容器(ファンデーションなど)
  • 繰り出し容器(口紅など)

素材についても、プラスチック、ガラス、金属と幅広く利用されています。

ここでは上記の容器ではなく、化粧品で見かけるプラスチックフィルムを使った包装製品の特徴について解説します。

ピロー包装

ピロー包装はフィルムを背中合わせで筒状にした状態でシールし、化粧品の長さに合わせて底部を切断したものです。形が枕に似ていることからピロー包装と呼ばれています。

形状や長さによる制限を受けにくい包装の種類で、幅広い商品の包装に適しています。また低コストかつ大量生産が可能な点も大きなメリットです。

主に、外装などの二次包装の用途で使用されています。

スティック包装

スティック包装はフィルムを筒状にして上部と下部を熱で密封したものです。

中身を絞り出しやすいメリットがあり、1回使い切り用など幅広い化粧品の包装に用いられています。

また従来の化粧品包装によく用いられていた三方シールまたは四方シールと比べて、スティック包装は包装材の使用量を削減することができるため、環境負荷の低減などのメリットがあります。

シュリンク包装

シュリンク包装は、熱を加えることで収縮するフィルムを用いて化粧品にぴったり合わせて包装するものです。

輸送時・陳列時の汚れや擦れの防止はもちろんのこと、フィルムは一度破くと修復不可能となるため、売り場でのいたずら予防効果もあります。

シュリンク包装は化粧品に限らず幅広い商品に使用される包装の種類です。

またシュリンクフィルムに使用される材質にはPET(ポリエチレンテレフタレート)やOPS(延伸ポリスチレン)、塩ビ、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)など幅広い種類があり、光の影響を受ける製品の場合は遮光機能のあるフィルムを検討するなど、商品の特性に合わせて選択する必要があります。

パウチ包装

パウチ包装はスキンケア・ヘアケア商品の試供品によく使われる小容量タイプのものと、注ぎ口とキャップが付いた「スパウトパウチ」があります。

スキンケア・ヘアケア商品の試供品に使われる小容量タイプのパウチ包装は、フィルムの三方または四方を密封したもので、光や酸素の影響を抑えることができる「アルミパウチ」が使用されるケースが一般的です。

スパウトパウチは化粧品や乳液などの詰め替え用商品の包装によく用いられます。

開封した後もキャップを閉めることで中身をこぼさず保存できるため、詰め替え用途以外にも消費者にとって使い勝手の良い包装の一つといえるでしょう。

化粧品を包装するポイント

化粧品を包装するポイント

化粧品包装の場合でも、抑えるポイントは医薬品などと基本変わりません。

  1. 内容物の価値および状態を保護すること
  2. 利便性を付与すること
  3. 情報を提供すること

また、上記のポイント以外にも、以下が必要となります。

  • 関連法令・各種ガイドラインを遵守
  • 企業やブランドのイメージを向上させるようなデザイン
  • 消費者に購入意欲をアピールするような各種表示
  • 環境負荷低減

そのためには、内容物に合わせて適切な容器包装・材料を選定し、化粧品GMPに適合した環境で製造することが重要となります。

その中で、下記の3つのポイントについてそれぞれ解説します。

  • ブランドイメージに沿った包装にする
  • 耐久性の高い包装や緩衝材を活用する
  • 梱包作業環境に注意する

ブランドイメージに沿った包装にする

化粧品を包装する際は、ブランドイメージに沿ったものにしましょう。

包装デザインは内部の商品よりも先に目に入るため、ブランドの最初の印象を決定づけるものと言えます。環境への配慮を重視したブランドイメージを持つ商品であれば、エコフレンドリーな素材を使用した包装を心がけるとよいでしょう。

包装材料と包装デザインの両者においてブランドイメージを意識することがポイントとなります。

耐久性の高い包装や緩衝材を活用する

包装には様々な役割がありますが、その一つに商品の保護が挙げられます。

化粧品を包装する際は中身が破損しないよう、耐久性の高い包装や緩衝材を活用することが重要です。フィルム素材は使用される材質によって強度や熱、光などへの耐性が異なります。

商品の性質を考慮したうえで、消費者の元に安全に商品が届くような包装の検討が必要となります。

梱包作業環境に注意する

化粧品を包装する際は、梱包作業環境にも注意が必要です。

化粧品の中には温度や湿度を管理しなくてはいないものがあり、これらが適切に守られていないと商品の品質に悪影響を及ぼす恐れがあります

適切な温度・湿度を保った作業環境での包装が求められます。

まとめ

化粧品を包装する際には、公正競争規約第11条「過大包装の禁止」の実施を目的とした適正包装規則を守る必要があります。
この規則では直接の容器の基準、外部の容器の基準、贈答用詰合せ容器の基準などが定められています。
消費者の誤解を招くような過大包装にならないよう、これらの基準に従って化粧品包装を設計しましょう。

株式会社カナエでは、化粧品分野向けの包装を取り扱っており、単一素材で構成されたモノマテリアルポーションなど、ニーズに応じたパッケージのご提案が可能です。包装でお悩みの方はぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。

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