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食品包装とは?選定するときのポイントやトレンドについて解説

食品包装とは?選定するときのポイントやトレンドについて解説

食品包装は食品を包むものですが、単なる入れ物としてではなく、さまざまな役割を持ちます。
具体的には食品の品質保持、流通・保管の利便性向上、食品の情報提供、販売促進などです。

この記事では、食品包装の持つ役割について詳しく解説します。
食品包装に関係する法律や選定するときのポイントもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

食品包装の役割

食品包装の役割

食品包装は食品を入れるための容器やトレー、フィルム、パウチなどのことで、食品をただ包んで入れるだけでなく以下のような重要な役割を持っています。

  • 食品の品質を保つ
  • 流通・保管の利便性向上
  • 食品の情報提供
  • 販売促進

ここでは上記4つの役割についてそれぞれ解説します。

食品の品質を保つ

食品を安全に消費できる状態で保持するためには、その品質を保つことが非常に重要です。

食品包装は外部からの衝撃や環境変化による劣化から食品を守り、保存状態を維持する役割を担っています。
消費者が安心して食品を手に取れるよう、品質保持の観点からも食品包装は極めて大切なものです。

また食品の品質を保持することにより、食品残渣の問題を抑える効果も期待できます。

流通・保管の利便性向上

食品包装は流通・保管の利便性向上の役割も持っています。

例えば生卵が個別で流通していた場合、その取り扱いは非常に困難です。
卵が転がる、衝撃で割れる、一度に運搬できる量が限られるなどの多くの問題が発生しますが、卵のパックや紙製トレーを使用することでこれらの問題は大きく改善が可能です。

パックにより卵が固定され、安定して積み重ねることができ、多少の衝撃にも耐えられるようになります。
また一度に多くの数を効率的に運搬できるため、輸送コストも削減できます。

このように食品包装は輸送、保管、陳列などのプロセスをスムーズかつ効率的に進めるために不可欠な役割を果たしているのです。 

食品の情報提供

食品包装は食品表示法によって以下の情報の記載が定められています。

  • 名称
  • 賞味・消費期限
  • 保存方法
  • 遺伝子組換え
  • 製造者名等
  • 原材料名
  • 内容量
  • 原産地
  • 添加物
  • アレルギー
  • 主要栄養成分

これらの情報を的確に伝達することが、食品包装の大きな役割の一つです。
食品包装は消費者の健康を守るために欠かせないものと言えるでしょう。

販売促進

食品包装は情報提供だけでなく、販売促進にも重要な役割を果たします。
目を引くデザインや商品の良さを訴求するメッセージは、消費者の購買意欲を高めるために効果的です。

例えばスナック菓子のパッケージには風味を視覚的に伝えるために、その風味の元となる食品のイメージが大きく描かれていることがよくあります。このような視覚的アピールにより、消費者の関心を引きつけ、商品を選んでもらいやすくなります。

またパッケージデザインにはブランドイメージを強化する役割もあります。
一貫性のあるデザインは消費者にブランドの信頼性や品質を連想させ、さらにリピーターを増やす効果が期待できるでしょう。

このように、食品包装による広告機能も重要な役割の一つです。

食品包装に関係する食品衛生法

食品包装に関係する食品衛生法

食品包装には「食品衛生法」という法律が深くかかわっています。
誤飲や誤食などによる事故を防ぐためにも、この法律は必ず守らなくてはいけません。

食品衛生法とは

食品衛生法は食品の衛生安全を守るための法律で、食品や食品添加物の規格・基準だけでなく、食品に直接接触する容器包装にも規格・基準が定められています。

容器包装は食品衛生法第4条で「食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのままで引き渡すものをいう。」と定義されており、この定義に当てはまるものの材質や溶出物の規格が設けられているのです。

2018年6月13日には食品衛生法が改正され、さらなる食品の安全確保のために以下の7つの項目が新たに追加されました。

  1. 大規模または広域に及ぶ「食中毒」への対策を強化
  2. 「HACCPに沿った衛生管理」を制度化
  3. 特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
  4. 「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
  5. 「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
  6. 食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
  7. 「輸出入」食品の安全証明の充実

この中でも特に注目したいのが、食品用器具・食品包装へのポジティブリスト制度の導入です。
以下でネガティブリスト制度とポジティブリスト制度の違いを解説します。

ネガティブリスト制度

ネガティブリスト(NL)制度は改正前の食品衛生法で採用されていたもので、禁止されている材料・物質・基準値をリスト化し、それ以外を許可するものです。

リストに入っていない材料や物質は使用できますが、未知の物質についてはただちに規制することができず、安全性が確保されないリスクがありました。

ポジティブリスト制度

改正後の食品衛生法で採用されたポジティブリスト(PL)制度は、安全性が確認されている材料・物質のみをリスト化し、それ以外を原則禁止する仕組みです。

ポジティブリスト制度の対象となっている物質は、幅広い食品包装に使用されている合成樹脂製(プラスチック製)の器具・容器包装です。ゴムや金属、紙、木製などの天然由来の器具・容器包装は対象外となっています。

ただし紙容器や金属缶の中でも、表面に合成樹脂のラミネートが施されている場合はポジティブリストの対象となるため注意が必要です。

ポジティブリスト制度導入のメリットには以下が挙げられます。

  • 製品に使用できる成分・添加物などが明確になったため規制遵守が容易になった
  • 安全性が確認されたもののみ使用できるため消費者の安全が守られる
  • 製品開発や工程管理が効率化される

ポジティブリスト制度の導入により、容器包装の品質・安全性をより高め、消費者と企業の双方にさらなる利益をもたらすようになりました。合成樹脂製の器具・容器包装を検討する際は、ポジティブリスト制度をよく理解しておくことが大切です。

食品包装を選定するときのポイント

食品包装を選定するときのポイント

食品包装を選定するときのポイントとして、以下の2つが挙げられます。

  • 食品の保護機能
  • 流通・販売・使用時の利便性

ここでは上記2つのポイントについてそれぞれ解説します。

食品の保護機能

食品の品質を保つためには、包装の保護機能が非常に重要です。その理由の一つに流通搬送中の圧縮負荷や外力による変形防止が挙げられます。包装により食品が配送中に損傷するリスクを軽減します。

また外気の熱、湿気、水からの保護も不可欠で、食品の鮮度や味を長期間維持するために重要なものです。

さらに製品の酸化、腐食、虫から保護するための密封性も重視されます。
酸化や腐食が進むと食品の風味や品質が低下するため、密封性の高い包装を選ばなくてはいけません。

適切な包装を選ぶことで、消費者に新鮮で安全な食品を提供することができます。

流通・販売・使用時の利便性

流通や販売、使用時の利便性も食品包装選定の重要な要素です。

まず流通上の運びやすさを確保するためにも、箱のサイズや形状、寸法などを考慮しなくてはいけません。例えば段ボールに取っ手があると、配送作業が効率化されます。

さらに販売上の並べやすさと取り扱いやすさも重要で、具体的には個包装を複数個括りにした小ケース包装や什器へ掛ける用途のパンチ穴などが挙げられるでしょう。

消費者の利便性を考慮すると、レトルト湯煎対応やレンジアップ対応、チャック付き袋などの機能も検討すべきです。
これにより消費者が使いやすくなり、商品価値が高まります。

機能性の高い食品包装

機能性の高い食品包装

機能性の高い食品包装を用いた包装には、以下の5つが挙げられます。

  • スキンパック
  • トップシール包装
  • ノントレー包装

ここでは上記3つの食品包装についてそれぞれ解説します。

スキンパック

スキンパックは海外では以前から知られている包装方法ですが、近年では日本でもその注目が高まっています。

この方法では、食品をトレーや台紙の上に置き、加熱したフィルムを製品とトレーに密着させることで包装します。
食品とフィルムが密着するため、ドリップの流出を抑える効果があります。

縦にしても食品が崩れないため立ててディスプレイすることが可能となり、店舗での陳列スペースの効率化にも効果的です。
またスキンパックは視覚的にも食品の魅力が伝わりやすく、消費者に鮮度や品質をアピールすることに適しているでしょう。

スライスした肉や干物など、断面を見せたい商品に特に適した包装方法です。

トップシール包装

トップシール包装は、トレーの蓋としてフィルムを直接貼り付ける包装方法です。
この方法はフィルムと食品容器を完全に密着させることができるため、食品の保存に適した環境にできます。

以前はパック豆腐や茶わん蒸しなどで一般的に使用されていましたが、最近ではタピオカドリンクのテイクアウトやデリバリーにも広く用いられるようになっています。

トップシール包装はスキンパックやノントレー包装と異なり、食品とフィルムが密着しないため、お弁当やお惣菜などあらゆる食品を効率よく包装することができます。

また食品の鮮度保持や持ち運びの利便性を高めるだけでなく、衛生的な食品保存方法としても優れています。

ノントレー包装

ノントレー包装は、数年前に全国的な話題となった「くるりポイ問題」をきっかけに普及しました。

くるりポイ問題とは、購入後の商品のトレーを店舗で捨て、中身をビニール袋やタッパーに移し替えて持ち帰る行為を指します。この問題が浮上したことで、環境負荷を軽減するための新しい包装形態が求められるようになりました。

ノントレー包装では、トレーを使わず袋に商品を入れて真空または真空に近い状態でパックします。
これにより資源の節約だけでなく、商品の鮮度保持や輸送効率の向上が期待できるのです。

特に精肉やハム、ソーセージなどの包装に適しており、これからも需要が高まり続けるでしょう。

まとめ

食品包装とは食品を入れるための容器やトレー、フィルム、パウチなどのことで、食品の品質を保ったり流通・保管の利便性を向上させたり、消費者に情報を提供したりする役割を持ちます。

食品包装を検討するうえで重要になるのが、「食品衛生法」の理解です。
食品衛生法は食品の衛生安全を守るための法律で、食品包装についても規格・基準が定められています。

2018年6月13日に改正された食品衛生法ではポジティブリスト制度が導入され、合成樹脂製(プラスチック製)の器具・容器包装の規格・基準が明瞭になりました。食品包装を検討する際は、上記のような法律もきちんと理解しておきましょう。

株式会社カナエでは、食品分野向けの包装を取り扱っており、単一素材で構成されたチャック付きモノマテリアルパウチなど、ニーズに応じた包装のご提案が可能です。包装でお悩みの場合はぜひ当社までご相談ください。

本記事については一般的な内容であり、当社の製品・サービスについて説明するものではありません。
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