包装の豆知識Packaging Tidbits

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用時混合技術

包装の豆知識のコーナーにようこそ!
さて、今回は用時混合技術についてお話したいと思います。

2種類以上の内容物を別々に封入し、使用する際に混ぜ合わせて使うような製品を見かけたことはないでしょうか?
例えば、2液タイプの接着剤や、薬剤を生理食塩水等に溶解させて投与するような医薬品などがそれに当たります。

それぞれの原料は個別の容器包装に入れられ、使用時に容器包装から適量取り出して混合することになりますが、取り出す量にバラツキがあると混合しても性能が発揮できない、混合時に手間がかかるなどの問題も発生します。

これらの問題を回避するには、包装袋に複数室(例えば、2種類のものを混ぜ合わせて使う場合であれば、2室)になるように隔壁を設けて各室に内容物を入れた状態で保管・流通し、使用時には隔壁を破壊し、各室を導通させて混合できるようにすると言った事例があります。

具体例としては、四方シール袋形態入りの2液反応型接着剤の場合を考えてみましょう。

四方シール袋形態入りの2液反応型接着剤

まず四方シール袋形態にする場合、4辺のシールは液漏れや破袋しないようにがっちりとした強いシールを行い、袋中央部には2室に分けるための隔壁シール部を設けます。その際、隔壁シール部は4辺のシールよりもシール強度が弱くなるように設定しておきます。その後、2液をそれぞれの部屋に個別に充填して密封します。

ジョイパック

2液を充填された製品は静置状態では液漏れや導通はしませんが、一定以上の圧力がかかると隔壁シールが破壊、もしくはシール部が剥がれて、各室がつながるようになります。そうすると、2液がそれぞれの部屋を行き来し、混合できるようになります。
あとは袋の一部を切り取り、そこから混合が完了した内容物を取り出して使用します。

隔壁シール部を周りの4辺のシールよりも弱くする方法としては、以下のようなものがあります。

  1. 包装フィルムの隔壁シール形成部に、あらかじめ弱いシールにするようなコート剤を部分的に塗布する。
  2. 1のコート剤の代わりに、イージーピールフィルムを部分的に挟み込む。
  3. シール温度の低温域ではシールが弱く、高温域ではシールが強くなるようなシーラントフィルムを用い、製袋時に隔壁部と周辺部のシール温度を変えてシールを行う。

隔壁シール部の状態は、シール強度が弱いと流通・保管中に隔壁が破壊もしくはシールが剥がれてしまい、各室がつながって内容物の反応が起こってしまうことがあります。
逆にシール強度が強いと、操作時に隔壁シール部が解放せず、混合できないといった問題がおきます。このようなことが起こらないように事前に十分な確認テストを行っておく方が良いでしょう。

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