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ブリスター包装の特徴は?メリット・デメリット・見積もりのポイントについて紹介

ブリスター包装の特徴は?メリット・デメリット・見積もりのポイントについて紹介

ブリスター包装は医薬品や化粧品、文房具、事務用品など幅広い用途に使用される包装です。
包装が透明であることから、商品のディスプレイ性が高いという特徴があります。

この記事では、ブリスター包装の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
ブリスター包装の見積もりを依頼する際のポイントもまとめているため、参考にしてみてください。

ブリスター包装について

ブリスター包装について

ブリスター包装とは、製品を成形した透明なプラスチックシートで覆い、裏面に紙やアルミホイルなどの台紙を貼り付ける包装方法です。

この方法は、製品を保護しながら中身を見せることができるため、特に医薬品や小型の電子機器、玩具などでよく使用されます。

ここではブリスター包装の特徴や種類、必要な機能などについて解説します。

ブリスター包装の特徴

ブリスター包装は透明なパッケージのため、商品の外観をそのまま見せることができる特徴があります。
これにより消費者は商品の色や形状を確認できるため、購買意欲が刺激されやすくなります。

商品のディスプレイ性を高めるメリットもあり、視覚的に魅力のあるディスプレイとすることが可能です。
中身が見えることにより、消費者に安心感を与えることができる点も大きなメリットといえるでしょう。
またブリスター包装は耐衝撃性にも優れており、破損や汚れなどから商品を守ることができます。

商品を売り場でアピールしたい場合や、安心して商品を手に取ることができるパッケージを作りたい場合などに適した包装といえます。

ブリスター包装の種類

ブリスター包装には熱圧着型ブリスターパック、スライドブリスターパック、シェルパックブリスター、トリプルパックブリスター、クラムシェル式ブリスターパックなどの種類があります。

これらの特徴をそれぞれ簡単にまとめると以下の通りです。

種類特徴使用される商品例
熱圧着型ブリスターパック製品を成形した透明なプラスチックシートで覆い、裏面に紙やアルミホイルなどの台紙を貼り付けたもの化粧品、医薬品、ボタン電池、芳香剤、ビーズ、接着剤など
スライドブリスターパック成形品の両サイドを折り曲げ、その隙間から台紙をスライドさせてセットするもの文具、安全カミソリ、ヘアブラシ、玩具など
シェルパックブリスター(二つ折りブリスター)透明なプラスチックケースに商品と台紙の両方を挟み込むものドアノブ、工具類、事務用品など
トリプルパックブリスター(三つ折りブリスター)透明なプラスチックケースを三つ折りにしたもの文房具、化粧品、フィギュア、玩具など
クラムシェル式ブリスターパック(嵌合式ブリスター)ブリスターの表面と裏面を折りたたんだもの文具、工具、玩具、部品類、釣り具類など

商品の形状や求める機能性に合わせて種類を選択可能です。

ブリスター包装に必要な機能

ブリスター包装に必要な機能は以下のようなものです。

製品の保護

ブリスター包装は、製品を物理的な損傷、汚染、湿気、ほこり、空気などから保護します。特に医薬品や電子機器など、損傷が致命的な製品に適しています

製品の可視性

透明なプラスチック素材を使用することで、包装を開けずに製品を確認できます。これにより、品質チェックが容易になり、顧客も購入前に製品を確認できます

改ざん防止

ブリスター包装は、一度開封すると再封が難しいため、不正開封を防止する機能があります。これにより、製品の安全性と信頼性が向上します

コスト効率

ブリスター包装は比較的安価に製造でき、軽量であるため輸送コストも削減できます。

保管スペースの効率化

コンパクトで積み重ね可能なデザインにより、保管スペースを有効に活用できます

カスタマイズ性

製品の形状やサイズに合わせて簡単にカスタマイズできるため、製品の保護が向上し、余分な梱包材が不要になります。
台紙とプラスチックの接着が弱いとパッケージング後に商品が脱落してしまう可能性があるため、紙・インキ密着性やプラスチック密着性が重要になります。

また、外観や耐スクラッチ性、耐ブロッキング性などについてもブリスター包装の重要な機能であると言えます。
これらの機能を満たすことで、商品の脱落がなくディスプレイ性も高いブリスター包装を生産できます。

PTP包装はブリスター包装の一種

PTP包装はブリスター包装の一種で、以下のような違いがあります。

  • ブリスター包装:プラスチック開口部を台紙やプラスチックフィルムで覆ったもの
  • PTP包装:プラスチック開口部を押出性の高いアルミ箔で覆ったもの

つまりPTP包装は押出性のあるブリスター包装であると言うことができます。

特に医薬品のパッケージによく用いられており、高齢者などの力が弱い人でもプラスチック部分を押し出すことで薬を簡単に取り出すことが可能です。

ブリスター包装の構成と製造工程

ブリスター包装はプラスチックフィルムと台紙で構成されており、素材としては主にPVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタート)が使用されています。

PVC(ポリ塩化ビニル)は高い透明性や耐薬品性に優れた素材で、主に医薬品のパッケージで使われています。
PP(ポリプロピレン)は、耐熱性、耐薬品性、水蒸気バリア性に優れており、食品や医薬品分野で多く使われています。
PET(ポリエチレンテレフタート)は耐薬品性、リサイクル性に優れており、幅広い製品に使われます。

またブリスター成形の製造工程を簡単に説明すると、次の通りです。

<シート加熱>→<成形加工>→<内容物充填>→<蓋材をシール>→<トリミング>→<完成>

このうち、成形加工の詳細は以下のようになります。

  1. プラスチックシートを加熱する
  2. 金型にシートをセットする
  3. 成形を行う
  4. 冷却する
  5. 余分なプラスチックシートを切り抜く
  6. 必要に応じて後加工(曲げ加工や熱圧着など)をして完成

ブリスター包装の製作期間は、製品の大きさ、形状、ロット、素材などにより前後します。

ブリスター包装の安全性

ブリスター包装は一般的には安全性が高い包装方法とされています。

主に使用される素材はPVCやPP、PETなどで、これらは食品や医薬品に使用する際の安全性が認められているものです。

さらにブリスター包装は製品を外部の微生物や異物、湿気などから内容物を守り、輸送中や店頭での取り扱いによる損傷を防ぐため、製品の品質と安全性を長期間にわたって維持できます。

ブリスター包装のメリット

ブリスター包装のメリット

ブリスター包装のメリットは以下の4つです。

  • 商品を衝撃や汚れなどから守る
  • 軽い
  • 中身が見える
  • 陳列しやすい

ここでは上記4つのメリットについてそれぞれ解説します。

商品を衝撃や汚れなどから守る

ブリスター包装は密閉性や耐衝撃性に優れているため、商品を衝撃や汚れなどから守ることができるメリットがあります。
これにより水やほこり、湿気などによる商品の劣化を防ぐことが可能です。

さらに輸送時にトラブルが起こるリスクも低減できます。

軽い

ブリスター包装は軽いため、輸送や取り扱いが容易なメリットがあります。
包装が軽量であることは製品の輸送コストを削減するだけでなく、環境への負荷を軽減することにもつながります。

またブリスター包装は頑丈なプラスチック素材でできているため、製品をしっかりと保護しながらも重量を増やさない点が大きなメリットといえるでしょう。

この特徴により、大量に商品を取り扱う業者や消費者にとって便利な包装となっています。

中身が見える

ブリスター包装は透明なプラスチック素材を使用しているため、中身が見えるメリットがあります。
これにより、消費者はパッケージを開けずに製品の状態や詳細を確認することができます。

特に化粧品、電化製品、玩具など、視覚的な確認が重要な製品において、この特性は消費者の購入意欲を高める要因となるでしょう。

さらに商品が見えることで、購入後の返品やクレームの減少にも寄与します。

陳列しやすい

ブリスター包装はその形状から、店舗での陳列がしやすいメリットがあります。

壁掛けディスプレイやスタンドに簡単にセットできるため、スペースを有効活用することが可能です。
商品陳列の作業を効率的に行うことができるため、作業時間の短縮が期待できるでしょう。

また消費者にとっても視認性が高く、必要な商品を見つけやすくなるため、購買行動がスムーズになります。

ブリスター包装のデメリット

ブリスター包装のデメリット

ブリスター包装のデメリットは以下の3つが挙げられます。

  • 熱に弱い
  • 中身を出した後はゴミになってしまう
  • ホコリがつきやすい

ここでは上記3つのデメリットについてそれぞれ解説します。

熱に弱い

ブリスター包装のデメリットの一つは、熱に弱いことです。

プラスチック素材で作られているため、高温にさらされると変形や溶融のリスクがあります。
例えば夏場の高温の車内に長時間放置すると、包装が変形し、内容物が損傷する可能性があります。

また外部からの熱を遮断できる訳ではないので、内容物が熱に弱い場合、保管場所の状況には注意する必要があります。

中身を出したあとはゴミになってしまう

ブリスター包装のデメリットとして、中身を取り出した後の廃棄物問題が挙げられます。

プラスチックは分解されにくく、環境に対する負荷が大きい素材です。
使用後はすぐにゴミとして処分され、多くの場合リサイクルされずに埋立地に送られます。
また、ブリスター包装は袋タイプに比べると嵩高くなるため、見た目の量も多くなってしまいます。

これらは特にプラスチック廃棄物の増加が環境問題として注目されている現代において、大きな課題です。
企業や消費者は、環境に配慮した素材選びやリサイクルの促進が求められています。

ホコリが付きやすい

ブリスター包装に限らず、プラスチックシートは静電気を帯びることにより、ホコリが付きやすいというデメリットがあります。

特に乾燥した冬場には、静電気が発生しやすく、包装表面にホコリや汚れが付着しやすくなります。これにより製品の外観が損なわれてしまうのです。
ホコリの付着を防ぐためには、静電気防止加工を施すなどの対策が必要となります。

食品や医薬品など、衛生面が重視される包装では特に大きな懸念点となるでしょう。

ブリスター包装の見積もりを依頼する際のポイント

ブリスター包装の見積もりを依頼する際のポイント

ブリスター包装の見積もりを依頼する際は、以下の3つのポイントを押さえましょう。

  • 中に収納するものの情報を詳しく伝える
  • ブリスター包装の仕様について詳しく伝える
  • 商品の梱包や輸送方法に適した素材を選ぶ

ここでは上記3つのポイントについてそれぞれ解説します。

中に収納するものの情報を詳しく伝える

ブリスター包装の見積もりを依頼する際は、中に収納するものの情報を詳しく伝えましょう。

伝える内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 商品の形状・材質・大きさ・重さなど
  • 商品を収納する向き
  • セット部品の収納の有無
  • 保管条件、品質劣化の要素

上記のような情報を詳細に伝えることで、商品に適したブリスター包装を設計できます。

ブリスター包装の仕様について詳しく伝える

ブリスター包装の仕様についても詳しく伝えましょう。

  • ブリスター包装のサイズ
  • 台紙の大きさ
  • 希望の材質
  • 必要な強度
  • 店頭での陳列方法
  • 希望コストなど

上記の他にも希望要件がある場合は、些細なことでも伝えておくことが大切です。

商品の梱包や輸送方法に適した素材を選ぶ

ブリスター包装には様々な種類があり、商品の梱包方法や輸送方法によって適切な種類が異なります。

梱包・輸送・保管方法などの詳細が決まっている場合は、依頼時に希望要件と合わせて伝えておくとよいでしょう。
例えば段積み予定の有無やブリスター包装を入れるコンテナのサイズ等が挙げられます。

提供する情報が多ければ多いほど見積もりの精度を高めることができるため、なるべく細部まで情報を伝えておくことが大切です。

まとめ

ブリスター包装とは、製品を成形した透明なプラスチックシートで覆い、裏面に紙やアルミホイルなどの台紙を貼り付ける包装方法で、ディスプレイ性や耐衝撃性などに優れている特徴があります。

熱に弱い・ホコリが付きやすいなどのデメリットがあるものの、商品を売り場でアピールしやすかったりコストを抑えやすかったりといったメリットがあります。

ブリスター包装の見積もりを依頼する際には、中に収納するものの情報やブリスター包装の仕様、商品の梱包方法・輸送方法についてなるべく詳細に伝えることが大切です。

決まっている情報をなるべく多く伝えることにより、より精度の高い見積もりが期待できるでしょう。

株式会社カナエでは、食品分野向けの包装を取り扱っており、単一素材で構成されたモノマテリアルPTPなど、ニーズに応じた包装のご提案が可能です。包装についてお悩みの方はぜひ当社までご相談ください。

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