
レトルト食品や各種調味料の容器として用いられるパウチ容器ですが、実はさまざまな種類があります。
そのうちの一つであるスタンディングパウチは、袋の底部に折り込みを入れることにより自立できるようにしたものです。
この記事では、スタンディングパウチの特徴について詳しく解説します。
スタンディングパウチのメリット・デメリットや選び方もまとめているため、参考にしてみてください。
目次
スタンディングパウチとは

スタンディングパウチはパウチ容器の底部に折り込みを入れることで自立できるようにしたもので、店頭でのディスプレイ性を高めることや、使用者の利便性を上げることを目的としています。
ここではスタンディングパウチの特徴やパウチ容器の種類、スタンディングパウチの種類・用途などについて解説します。
スタンディングパウチの特徴
スタンディングパウチの最大の特徴はその自立性です。
これにより棚に並べる際にスペースを有効に活用でき、製品が倒れることなく安定します。
またスタンディングパウチには軽量でありながら耐久性に優れており、破れにくく、保管中も内容物をしっかりと保護できるものがあります。
さらに、開封後も再封可能なジッパーやスパウト付きのものもあり、開封後の保存性にも優れています。
また開封時の口形状に工夫し、注ぎやすくなる工夫を施したものもあります。
このため消費者にとっても使いやすく、企業としてもプロモーション効果の高いパッケージとなっているのです。
パウチ容器の種類
パウチ容器には、スタンディングパウチの他にもさまざまな種類があります。
パウチ容器の主な種類としては、平袋、スタンディングパウチ、センタースパウト、ガゼット、コーナースパウトなどが挙げられます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
平袋 | 平面的な袋で、パウチ容器の基本的な形状。 |
スタンディングパウチ | 袋の底に折り込みを入れることで自立性を持たせたもの。 |
ガゼット | 袋の底を四角く広げられるもの。袋の左右にマチがあるタイプと底部に折り込みが入っているタイプがある。 |
センタースパウト | 上部中央にスパウト(注ぎ口)が設けられたもので、粘性の高い液体にも使用できる。 |
コーナースパウト | 上部の角にスパウト(注ぎ口)が設けられたもの。 |
スタンディングパウチの種類
スタンディングパウチの種類は、自立させる方法によって、以下のようなタイプがあります。
船底シールタイプ
パウチに内容物を入れると、袋の底部が船底のような形状に開くタイプ。
1ピースタイプ:胴材と底材が1枚のフィルムから形作られ、底形状を形成させたもの
2ピースタイプ:胴材と底材が別々のフィルムで作られ、底形状を形成させたもの
角底タイプ(ボックスパウチ)
底面がフラットなスタンディングタイプの袋。箱のような見た目で、内容物が軽くても安定して自立ができる。
エッジスタンド(株式会社彫刻グラビア)
ヒダ部を形成したピロー包装袋。ヒダ部が底形状を安定化させ自立できるようになったもの。
スタンディングパウチの用途
スタンディングパウチは幅広い用途に使用されているパウチ容器です。
具体的には各種調味料や味噌、ジュース類、清涼飲料水、スープ、レトルト食品、ドレッシング、菓子類などの食品や、シャンプー・リンス、家庭用洗剤などの詰め替え用途で化粧品やトイレタリーの製品でも使われています
スパウト(注ぎ口)が設けられているタイプでは、ゼリー飲料や詰替え用油などにも用いられています。
スタンディングパウチは防湿性や透明性、耐低温性、耐衝撃性、耐摩耗性、ガスバリア性、遮光性、耐油性などの機能性を付加できるため、充填する内容物に合わせて材料を選定することが大切です。
パウチが酸素や水分を遮断する仕組み
一般的なパウチ容器にはプラスチック・アルミ箔・蒸着フィルムなどが使用されており、これらの素材によって酸素や水分を遮断することができます。
酸素を遮断できるパウチ容器にはバリア層・酸素吸収層を挟んだプラスチックフィルムが用いられており、これにより酸素の透過を防ぐ仕組みとなっています。
酸素を遮断することにより、内容物の酸化・劣化を防ぐことが可能です。
水分を遮断できるパウチ容器にはバリア層・吸湿層を挟んだプラスチックフィルムが用いられ、外から入ろうとする水分を防ぎ、内部に残った水分を吸収します。
酸素吸収層・吸湿層は特別なパウチにのみ使われているもので、主に湿気や水分に弱い内容物の包装によく使用されます。
スタンディングパウチのメリット

スタンディングパウチには以下の5つのメリットがあります。
- スペースを有効活用しながら陳列できる
- オリジナリティを出すことができる
- 中身の酸化を防ぐことができる
- さまざまな加工ができる
- 資源の節約ができる
ここでは上記5つのメリットについてそれぞれ解説します。
スペースを有効活用しながら陳列できる
スタンディングパウチは、スペースを有効活用しながら陳列できるメリットがあります。
従来の包装形態では商品が重なり合ってしまうことがありましたが、スタンディングパウチは縦に立てて並べることができるため陳列がスッキリとします。
また通常は底部の折り込みを活かして立てて陳列しますが、パウチの上部に穴をあけてフック陳列にすることも可能です。
こうすることで限られたスペースを有効活用できます。
オリジナリティを出すことができる
スタンディングパウチは、オリジナリティを出しやすいという点でも魅力的です。
パウチの形や素材、印刷方法によってオリジナルのデザインを施すことができ、ブランドの個性を強調することが可能です。
例えば特別な印刷技術を使用して、視覚的に魅力的なデザインを施したり、独特な形状にカットすることもできます。
これにより他の製品との差別化を図り、消費者にとって印象的な商品となるでしょう。
中身の酸化を防ぐことができる
スタンディングパウチは、商品の品質劣化を防ぐため、包装材料に工夫をすることで、優れたバリア性を持たせることができます。
包装材には多層構造が採用されており、酸素や湿気を効果的に遮断することで、食品や飲料などの品質を長期間保つことができます。特に食品業界では新鮮さが求められるため、このようなパウチは非常に重要です。
さらに再封可能なジッパーが付いている場合、消費者は一度に全部を使い切らずに保存でき、無駄を減らすことができます。
さまざまな加工ができる
スタンディングパウチはさまざまな機能を付与することが可能です。
例えばジッパーやスパウト(注ぎ口)、透明な窓、特殊なフィルムでの印刷など、用途に応じて幅広いカスタマイズを施すことができます。これにより、製品の使い勝手や視覚的な訴求力が向上します。
商品の特性に合った様々な機能を追加することができ、消費者の利便性や満足度を向上させることが可能です。
資源の節約ができる
スタンディングパウチはその軽量さとコンパクトな設計により、資源の節約が可能です。
従来のガラス瓶やプラスチック容器に比べ、製造時に使用する原材料を削減することができます。
また輸送時の重量が軽減されるため燃料やエネルギー消費の削減にもつながり、環境負荷低減に貢献できるでしょう。
スタンディングパウチのデメリット

スタンディングパウチのデメリットとしては以下が挙げられます。
- 破損する可能性がある
- リサイクルされにくい
- 中身を注ぎにくい場合がある
ここでは上記3つのデメリットについてそれぞれ解説します。
破損する可能性がある
スタンディングパウチのデメリットとして、破損する可能性があることが挙げられます。
特に鋭利な物や硬い物を直接パウチに入れると、簡単に破けてしまうことがあります。
さらに運搬中に重い物の下敷きになると、圧力でパウチが破損するリスクも高まるのです。
また低温や高温の環境下では、素材の強度が低下し、破れやすくなる可能性があります。
このような破損のリスクを抑えるためには、内容物に合わせて防湿性や耐低温性、耐衝撃性、耐摩耗性、ガスバリア性、遮光性などの機能性を付加することが不可欠です。
リサイクルされにくい
スタンディングパウチは一般的にプラスチック・アルミ箔・蒸着フィルムから構成されています。
これらの異なる素材を分離してリサイクルするには高度な技術と手間がかかるため、ほとんどの場合はリサイクルされずに廃棄されてしまいます。
この結果、パウチの廃棄物は埋め立て地や焼却炉へと送られ、地球環境への悪影響が懸念されるのです。
中身を注ぎにくい場合がある
スタンディングパウチのデメリットとして、中身を注ぎにくい場合があるという点が挙げられます。
特にパウチの形状や開口部の設計が良くない場合、注ぎ口が小さかったり、角度を変更しなければ注ぎにくかったりします。
この結果、液体が飛び散ることがあったり、最後まで使い切るのが難しかったりすることがあるのです。
この問題を解決するためには、注ぎ口に口栓などのプラスチックパーツを付ける、注ぎ口が自然と開く形状にするなどの工夫が必要となり、最近では注ぎやすさを重視したスタンディングパウチも増えてきています。
スタンディングパウチの選び方

スタンディングパウチを選ぶ際は、以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 内容物に適したサイズを選ぶ
- 内容物に適した素材を選ぶ
- ジッパーの有無など追加すべき機能を選ぶ
ここでは上記3つのポイントについてそれぞれ解説します。
内容物に適したサイズを選ぶ
スタンディングパウチは内容物に適したサイズを選ぶことが大切です。
例えば少量の液体や粉末の場合は小型のパウチが適していますが、大量の内容物を収納する場合は大きめのサイズを選ぶ必要があります。内容物が少ない場合に大きなパウチを使うと、保存スペースを無駄に使ってしまうことになります。
内容物に適した幅、高さ、マチのパウチを選びましょう。
内容物に適した素材を選ぶ
スタンディングパウチは内容物に適した素材を選ぶことも大切です。
内容物に適したスタンディングパウチの選び方として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 液体製品:防漏性・バリア性の高い素材
- 乾燥食品:防湿性の高い素材
- 粉末製品:静電気を帯びにくく粉末が付着しにくい素材
またレトルト食品に用いるスタンディングパウチの場合は、電子レンジの対応可否もチェックする必要があります。
電子レンジで調理する場合、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着は使用できず、かつ耐熱性のある素材を選ばなくてはいけません。
レトルト食品の場合は耐熱性・密閉性・防湿性の高い素材を選びましょう。
ジッパーの有無など追加すべき機能を選ぶ
スタンディングパウチは、内容物に合わせてさまざまな機能を追加できます。
代表的な機能としてはジッパーが挙げられ、ジッパー付きスタンディングパウチは開封後も内容物の鮮度を保つことができます。
このほかにも注ぎ口にプラスチックパーツがついているタイプや切れ込みにより開封しやすいタイプなどがあるため、消費者のニーズに合わせて機能性を追加しましょう。
まとめ
スタンディングパウチはパウチ容器の底部に折り込みを入れることで自立できるようにしたもので、店頭でのディスプレイ性を高められる特徴があります。
スペースを有効活用しながら陳列したい場合やオリジナリティを出したい場合、資源の節約をしたい場合などに特におすすめです。
スタンディングパウチを選ぶ際は、内容物に適した素材・サイズを選び、内容物や消費者のニーズに合った機能性を追加しましょう。
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