食品包装フィルムは、食品の品質保持や、保管・流通の効率を高めるために欠かせないものです。
食品包装フィルムには幅広い種類があるため、それぞれの特性を理解したうえで食品に合ったものを検討する必要があります。
この記事では、食品包装フィルムの役割や種類について詳しく解説します。
食品包装フィルムのトレンドもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
食品包装フィルムの役割
食品包装には以下の4つの役割があります。
- 食品を保護する
- 食品の品質を維持する
- 利便性を高める
- 情報を伝達する
ここでは上記4つの役割についてそれぞれ解説します。
食品を保護する
食品包装には食品を保護する役割があります。
商品に適した食品包装フィルムを使用することで衝撃や圧力などから食品を保護し、輸送中や保管中に傷ついてしまう事態を防ぐことができるのです。
また食品を包装することにより、異物混入や売り場でのいたずらを防止する役割もあります。
食品の品質を維持する
食品包装は食品の品質を維持するために欠かせないものです。
食品が空気に直接触れると微生物や汚染物質によって品質が低下したり、食品の酸化によって品質が低下してしまったりします。食品包装フィルムによって食品が空気に触れることを防ぐことができるため、食品の品質を維持しやすくなるのです。
利便性を高める
食品包装は利便性を高める役割も持ちます。
利便性を高める食品包装の例は以下の通りです。
- 保存可能なチャック付きの包装
- 電子レンジに対応した包装
また食品包装は消費する際の利便性のみでなく、保管・流通の効率を高める役割もあります。
食品を包装することで運びやすくしたり、見分けやすくしたり、陳列しやすくしたりすることができるのです。
情報を伝達する
食品包装には食品の情報を伝達する役割もあります。食品包装に記載される情報としては以下が挙げられます。
- 商品名
- 成分
- 栄養情報
- 消費期限
これらの情報は商品を購入するときの判断材料になることはもちろん、消費者の食の安全を守るためにも欠かせないものです。
また食品表示法や景品表示法などの法律によって、食品に必ず表示しなければいけない情報もあります。
食品包装フィルムの種類
食品包装には以下のような種類があります。
- ピロー包装
- 真空包装
- 深絞り包装
- スキンパック包装
- ガス置換包装
- 脱酸素封入包装
ここでは上記6つの種類についてそれぞれ解説します。
ピロー包装
ピロー包装は1枚のフィルムを背中合わせで筒状にしてシールし、底部を溶着して指定の長さで切断した包装です。
商品の形状や長さに左右されにくいメリットがあり、幅広い食品に使用されています。
主な材質としては、OPP（二軸延伸ポリプロピレン）、CPP（無延伸ポリプロピレン）、OPA（二軸延伸ポリアミド）、L-LDPE（直鎖状低密度ポリエチレン）などが挙げられ、使用する材質によって遮光性や耐衝撃性、耐熱性、ガスバリア性などの機能を付加することができます。
真空包装
真空包装は袋内の空気を取り除き、内部を真空状態にする包装です。
包装内から酸素を取り除くことによって、食品の酸化やカビの発生を防ぐことができます。
これにより食品の賞味期限を延長することが可能です。
真空包装では三方袋（三辺が熱シールされた包装）やチューブ袋（チューブ状の袋）が多く、材質としては外側にOPA、内側にLLDPEがよく使用されます。
ハムやソーセージ、魚の切り身、コーヒーなどによく使われる包装となっています。
深絞り包装
深絞り包装はトップ材とボトム材の2つのパーツで構成された包装で、食品の形に加熱成型したボトム材に食品を入れ、トップ材で真空状態にしながら熱接着する仕組みとなっています。
真空包装と同様、包装内部を真空状態にするため食品の品質低下を防ぐことが可能です。
ボトム材にはCN（無延伸ナイロン）やL-LDPE、トップ材にはOPAとL-LDPEを張り合わせたフィルムが使われることが一般的です。
スキンパック包装
スキンパックとは、トレー・台紙などの上に製品を置き、その上から加熱したフィルムを被せて真空引きをすることでフィルムを製品やトレーなどに密着させる包装方法です。
主に精肉に使用されることが多い包装で、食品に対しフィルムを隙間なくかぶせて密封するため鮮度を長期間維持できるメリットがあります。
OPAやLLDPE、PP、EVOH（エチレンーアルコール共重合樹脂）などが使用されます。
ガス置換包装
ガス置換包装は包装内部を真空状態にして酸素を取り除き、窒素などの不活性ガスで包装内部を満たすものです。
食品の酸化を防げるため、カビの発生や虫害の防止、消費期限の延長に効果的です。
主に使われる材質としてはEVOH（エチレンビニルアルコール共重合樹脂）やPVDC系のフィルムなどであり、ガスバリア性の高い素材を使う必要があります。
スナック類や緑茶、チーズ、ハムなどの食品に使用されることが多い包装です。
脱酸素封入包装
脱酸素封入包装は脱酸素剤を封入して密封した包装で、封入した脱酸素剤が酸素を吸収するため、食品の品質低下を防ぐことができます。
包装フィルムの材質は酸素透過率の低いフィルムを使用したラミネートフィルムが一般的です。
脱酸素封入包装は、主に餅や和洋菓子、米飯などの包装によく使用されます。
食品包装フィルムによく使われる材質
食品包装フィルムによく使われる材質として、以下が挙げられます。
- OPA（二軸延伸ポリアミド）
- OPP（二軸延伸ポリプロピレン）
- LDPE（低密度ポリエチレン）
- L-LDPE（直鎖状低密度ポリエチレン）
- PET（ポリエチレンテレフタレート）
- CPP（無延伸ポリプロピレン）
- KOP（ポリ塩化ビニリデンコートOPP）
- AL（アルミ箔）
ここでは上記の材質の特徴についてそれぞれ解説します。
OPA（二軸延伸ポリアミド）
OPA（二軸延伸ポリアミド）は、食品のラミネート袋の素材として汎用的に使われている材質です。
耐衝撃性や耐熱性、耐寒性、強度に優れており、他素材と貼り合わせてラミネートフィルムとすることで冷凍食品やボイル・レトルト用の包装にも活用できます。
OPP（二軸延伸ポリプロピレン）
OPP（二軸延伸ポリプロピレン）は、生鮮野菜や果物によく使われている材質です。
耐熱性や防湿性、引張強度に優れており、LLDPEやCPPなどのヒートシール性の高いフィルムと貼り合わせて活用されるケースが一般的です。
LDPE（低密度ポリエチレン）
LDPE（低密度ポリエチレン）は、ゴミ袋や軽包装ポリ袋によく使われている材質で『ローデン』とも呼ばれます。
耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐衝撃性、耐寒性、防湿性などに優れている特徴があり、ラミネート加工の際の樹脂としても活用されます。
L-LDPE（直鎖状低密度ポリエチレン）
L-LDPE（直鎖状低密度ポリエチレン）は、HDPE（高密度ポリエチレン）とLDPEの両方の特性を併せ持つ材質で、『リニアローデン』や『LL』とも呼ばれます。
ヒートシール性や耐衝撃性、強度に優れている特徴があり、ONyなどの他素材と貼り合わせたラミネートフィルムによく使われています。
PET（ポリエチレンテレフタレート）
PET（ポリエチレンテレフタレート）は、PETボトルの他、冷凍・ボイル・レトルトに対応した食品袋やコーヒー・香辛料の袋などによく使われる材質です。
耐水性、耐熱性、耐寒性、耐薬品性に優れており、LLDPEやCPPと貼り合わせたラミネートフィルムとしても活用されます。
CPP（無延伸ポリプロピレン）
CPP（無延伸ポリプロピレン）は、LDPEやLLDPEと同じように、食品包装においてポピュラーな材質です。
防湿性、耐熱性、耐摩耗性、ヒートシール性に優れている特徴があり、OPPやPETなどと貼り合わせたラミネートフィルムとしても活用されます。
KOP（ポリ塩化ビニリデンコートOPP）
KOP（ポリ塩化ビニリデンコートOPP）は、OPPの方面もしくは両面にPVDC（ポリ塩化ビニリデン）をコーティングした材質です。
他フィルムと貼り合わせたラミネートフィルムとして、脱酸素剤封入包装や防湿包装などによく使われます。
AL（アルミ箔）
AL（アルミ箔）はアルミホイルの他、ガス充填包装や脱酸素包装などに使用される機会の多い材質です。
遮光性、保香性、耐熱性、バリア性に優れており、LDPEやPET、CPPなどの他の材質と貼り合わせたラミネート袋としてよく使われます。
食品包装フィルムのトレンド
食品包装は年々進化を遂げていますが、最近のトレンドとしては以下が挙げられます。
持続可能な包装
環境に優しい素材の使用が増えています。生分解性プラスチックやリサイクル可能な材料が人気で、多くの消費者が持続可能な素材でパッケージされた製品にプレミアムを支払う意向を示す傾向があります。
この設計によって調理時間が短縮され、かつ食材の風味を保つことができます。
スマートパッケージング
IoT技術を活用したスマートパッケージングが進化しています。センサーを内蔵したパッケージが温度や湿度を監視し、食品の鮮度を保つのに役立っています
今後、環境意識の高まりとともにさらに注目を集めることが予想されます。
カスタマイズとパーソナライゼーション
3Dプリンティング技術を利用したカスタマイズ可能なパッケージが増えています。これにより、特定のイベントや顧客のニーズに合わせたパッケージが作成可能です
インタラクティブパッケージング
QRコードやAR（拡張現実）を利用したインタラクティブなパッケージが登場しています。これにより、消費者はスマートフォンを使って製品情報やプロモーションコンテンツにアクセスできます
まとめ
食品包装は、食品の保護や鮮度の維持、利便性の向上、情報の伝達などの役割があります。
主な種類としてピロー包装や真空包装、深絞り包装、スキンパック包装、ガス置換包装、脱酸素封入包装などが挙げられ、食品の性質や形状に合わせて使い分けられます。
また食品包装フィルムにはOPA（二軸延伸ポリアミド）やOPP（二軸延伸ポリプロピレン）などをはじめとしてさまざまな材質があり、使用する材質によってさまざまな機能を付加することが可能です。
さらに近年は持続可能な包装など、新たな食品包装の技術が増えてきています。
株式会社カナエでは、食品分野向けの包装を取り扱っており、単一素材で構成されたチャック付きモノマテリアルパウチなど、ニーズに応じた包装のご提案が可能です。
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