包装の豆知識のコーナーにようこそ!
今回は、「ポリプロピレン」がテーマです。
ポリプロピレン(Poly Propylene 略称:PP)は、汎用プラスチックの中では最も比重が小さく(約0.90)、水に入れても簡単に浮いてしまいます。前回のポリエチレン同様に包装材料の他、家庭用品から工業用品までいろいろな分野で使われている素材です。
包装用フィルムでもよく使われるポリプロピレンですが、次のような特徴を持っています。
■良い点
・透明性がある
・光沢感がある
・防湿性が比較的高い
■劣る点
・気体透過率が大きい
・耐寒性に劣る
・表面処理をしないと印刷インキや接着剤が塗りにくい
ポリプロピレンはフィルム状、シート状にしてよく使われますが、フィルム状に製膜した後、二軸延伸処理(フィルムの流れていく方向とフィルムの幅の方向)を行ったものを二軸延伸ポリプロピレン(OPP)と呼び、延伸処理をしていていない(無延伸)のものを無延伸ポリプロピレン(CPP)と呼びます。
OPPは主にラミネートフィルムのベース層として使用され、一部単体で簡易袋などにも使用されています。
一方、CPPは薄いものはラミネートフィルムのシーラント層に使用され、やや厚みのあるシート状のものはPTPや化粧品・食品用容器のシート成形などの用途に使用されています。
ここで少し延伸について説明をしたいと思います。
ガラス転移点以上、融点以下で一軸(流れ、または幅のどちらか)または、二軸(流れと幅両方)方向に引き伸ばし、鎖状分子を延伸した方向に配向させる処理を延伸処理といいます。
この処理により、フィルムは配向方向の強さ、剛性、耐衝撃強度が増し、伸びが減少します。
二軸延伸の場合は、耐屈曲疲労性も向上します。一方、一軸延伸の場合、無極性で隣り合う分子鎖間同士の力のやり取りのない樹脂(例えば、ポリエチレンなど)では、延伸方向とその直角方向の機械的強度の差が非常に大きくなるため、延伸方向に沿って分離しやすくなります。
いずれの延伸処理の場合も、フィルムの結晶化度が高くなるため、透湿度、ガス透過度は小さくなります(隙間の多い非結晶部分が減少するため、水分子、酸素分子などの各種ガス分子の通り道が狭くなるため)。
ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂は、延伸を行うと、フィルム内の分子(長細い鎖状をしており、製膜直後はコイル状になっている)は引き延ばされた方向に引き揃うことになります。コイル状の状態では、ガラス転移点以下では脆く、それ以上の温度では、外部の力で容易に変形します。
このように延伸処理を行うことによって、同じ材質でも違ったタイプのものが出来上がることになるわけですね。非常に薄いフィルムですが、そこには様々な工夫が施されているのです。