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ポリ塩化ビニル(塩ビ)

包装の豆知識のコーナーにようこそ!
今回は、「ポリ塩化ビニル」がテーマです。

ポリ塩化ビニル、通称で「塩ビ」と呼ばれるこの樹脂は、エチレンと塩素を原料として合成されたも のです。
塩ビには「硬質」と「軟質」があり、「硬質」は水道などの配管パイプや継ぎ手、波板や雨樋(あまどい)等の建設用資材や、包装用成形シートなどに使用されています。

一方、「軟質」は壁紙や床用シート、合成レザー、農業用フィルムなどに使用され、包装用途では輸液バックや血液バックなどの 医療用具、食品用ラップ、シュリンクフィルムなどの用途で使用されています。


このように塩ビは意外と身の回りで多く使用されている樹脂ですが、包装材料としてみた場合の特徴は次のようになります。

良い点
・透明性が高い
・成形加工などがしやすい
・薬品に対しての耐性が強い
・酸やアルカリに強い
・水を通さない
・電気を通しにくい

劣る点
・耐熱性に乏しい(塩ビの耐熱温度は60~80℃)
・耐有機溶剤性に乏しい(有機溶剤に触れると膨潤する)

※膨潤(ぼうじゅん):ゼラチンが水を含んで膨らむように、物質が溶媒を吸収して体積を増加し、ブヨブヨになる現象


包装材料としての塩ビは、3~40年前は食品、化粧品、医薬品、雑貨など多くの分野で使用されていましたが、現在は医薬品分野における錠剤の包装用途(PTP)や輸液バックの分野に見られる程度になってしまいました。

塩ビは組成に塩素基を持つため、燃やした場合に塩素が遊離し、塩素ガスが発生します。
日本の場合、ごみ処理の方法が主に焼却であるため、ごみ処理場で塩ビが燃やされることで塩素ガスが発生し、炉を傷めてしまうことがありました。また、この塩素ガスが原因で発がん性物質のダイオキシンが発生しているのではないか、との問題も浮上しました。そのため、包装用途で使用されていた塩ビはその性能面、コスト面の優秀さがありながら、食品分野を中心に採用がなくなってしまったのです。

ちなみにその後の研究で、ダイオキシン発生の一番大きな要因は、包装用の塩ビでなく、食品の残渣(いわゆる食べ残し)に含まれる塩分であることが突き止められました。現在では、焼却炉も高性能化しており、腐食耐性が向上し、800℃以上の高温で焼却するようになり、ダイオキシンはほとんど発生しなくなっています。

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