包装の豆知識のコーナーにようこそ!
今回は、「フィルムの製膜方法」がテーマです。
前回までは、ポリエチレンやポロプレン、ポリエステルなど包装材料として使われている個々の樹脂素材についてお話してきました。これらの樹脂は10~100μm程度の厚みのフィルム状にして包装材料として使用されています。
では、どのような方法で、薄いフィルムを作っているのかを見ていきましょう。
包装用フィルムの主な製膜方法は主に2種類あり、「インフレーション法」「Tダイ法」と呼ばれる方法です。
どちらも「ペレット」と呼ばれる粒状の樹脂塊と添加剤を混ぜ合わせ、それを押出し機に投入し、押出機内部で加熱・混錬しながら溶融し、流動性を持った状態になったら金型(「ダイ」と呼ばれる)から押し出して薄いフィルム状にしていきます。
樹脂を加熱して溶かして金型から押し出して製膜するという部分は同じなのですが、インフレーション法とTダイ法とでは、金型(ダイ)の形状に違いがあります。
インフレーション法
インフレーション法用のダイの形状はリング状になっており、そのリング部分に溶融された樹脂が通る細いスリットがあり
ます。
押出機にて加熱溶融された樹脂は、この隙間を通って出てくるので、そのまま連続で樹脂を押し出し続けると、やがてチューブ状に樹脂の膜が形成されていきます。
このチューブ状の樹脂膜の内部に高圧の空気を吹き込み、風船のように膨らませて設定の膜厚になるように調整していきます。
この高圧の空気はチューブ外側にも当てられ、溶融樹脂を冷却し膜形成の安定化に寄与しています。

このような仕組みで連続的に樹脂を押し出していくと、チューブ状にフィルムが製膜されるので、そのまま巻き取ればチューブ状のフィルム原反ができあがります。
また機械上で畳まれた後、両端部分を切り離して2枚に分離しながら巻き取ると、1枚モノのフィルム原反となります。
切り離された部分は細かく裁断し、同じフィルムの製膜時に再度押出機に投入し再利用されています。
Tダイ法
次に、Tダイ法ですが、この方法のダイは直線状にスリットが形成されており、このスリットから加熱溶融された樹脂が1枚のカーテン状に出てきます。
Tダイから押し出された直後の樹脂はまだ温度が高く、膜として安定していませんので、すぐに冷却用ロールに密着させて固化させ、フィルム状にして巻き取っていきます。
Tダイ法の場合、厚みの調整は、単位時間当たりの樹脂の押出量と冷却ロールの回転スピードによって行います。

Tダイ法の場合、フィルムの両端は製造方法の特性上、厚みバラつきが大きくなってしまうので、一定幅をカットして厚みが安定している部分をフィルム原反として使用します。
カットされた部分は、インフレーション法と同様に再利用されています。
樹脂ペレットや添加剤は、フィルムの特性に合わせて数種類を混ぜ合わせることもあります。
例えば、ポリエチレンフィルムは様々な用途に適したグレードがあります。
これらを製造するために、ポリエチレン樹脂のペレットも1種類ではなく、2種類以上をブレンドして使用することがあります。
どのペレットをどれくらいの比率で混ぜ合わせるかについては各フィルムメーカーのノウハウとなっています。
ですので、同じ用途に使用される「ポリエチレンフィルム」でもフィルムメーカー間で微妙に性能の差が出ることもあります。