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様々な機能を持った材料(吸収機能付き)

包装の豆知識のコーナーにようこそ!
今回は、「様々な機能を持った材料(吸収機能付き)」がテーマです。

水蒸気バリア性酸素バリア性とバリア機能を持った包装材料のお話をしてきましたが、なぜバリア機能を持った包装材料が必要になるのでしょうか?
水蒸気や酸素は包装袋内の製品の品質を変化させる場合があるため、それらの外部からの侵入を防止するため、もしくは外部に流出することによる乾燥や目減りを防止するためでしたね。

一般的な包装技法では、包装袋内部に空気が残ってしまう場合が多いのですが、その空気にはいくらかの水分や酸素が混ざっていることがほとんどです。例えば、非常に水分に敏感な製品を包装する場合、包装袋内に残ってしまった水分によって、品質変化を起こしてしまう場合があります。(酸素でも同様です)
このようなことが発生しないように、従来は製品の特性に合わせて乾燥剤や酸素吸収剤などを製品と一緒に包装袋内に封入して水分や酸素を吸収することが一般的でした。

各種吸収剤は吸収能力や形状のバリエーションも豊富で比較的安価ではありますが、一方で入れ忘れ、取り扱いの煩雑さ、食品と間違って誤飲されるなど、課題となる点も抱えていました。
そこで、包装材料そのものに乾燥剤や酸素吸収剤のような「吸収機能」を持たせたフィルムが開発されました。医薬品や食品などの分野で採用されている事例の中から、今回は2つご紹介します。


医薬品での事例

水分と反応するとガスが発生する製剤を包装するための材料として、吸湿機能付きフィルムをラミネートしたものが使用されています。構成はベースフィルム(PET)にバリア材としてアルミニウム箔を貼り合わせ、さらに吸湿機能付きシーラントフィルムを貼り合わせたものです。

包装袋の外部から侵入してくる水分はアルミニウム箔でブロックし、袋内部に残存した水分は吸湿機能付きシーラントフィルムが吸収します。吸湿機能付きシーラントフィルムは不可逆的に水分を吸収するものを選択することで、袋内部の湿度は一定値以下まで低下し、その状態をキープすることができます。

食品での事例

レトルトのお粥の包装で、酸素吸収機能付きシーラントフィルムを使った構成の事例です。
レトルト食品は常温で長期保存を可能にするため、包装後にレトルト殺菌を行います。一般的には包装後に袋が120℃前後の熱水に30分以上晒され、その熱伝導で食品を殺菌する仕組みになります。

この熱の影響で食品は殺菌されるのですが、袋内部に残っている酸素の影響で食品が酸化され、味や風味が低下することがあります。お粥は非常に繊細で、味が薄めものが多いため、極力残存酸素を排除したいのですが、酸素吸収剤を袋内部に入れることはできません。そこで、酸素吸収機能付きシーラントフィルムを採用することにより、レトルト殺菌による長期保存が可能な、美味しいお粥の開発に成功しました。


吸収機能付きフィルムは、水蒸気や酸素以外にも、特定の臭気(におい)やガスを吸収できるものもあり、使用用途が増えている状況です。
包装材料だけで見ると、通常の材料よりはコストが高めであり、吸収能力も乾燥剤や酸素吸収剤に比べると低めではありますが、乾燥剤や酸素吸収剤を個別に用意・充填する必要がなく、また入れ忘れる心配もないため、包装加工全体で見た場合メリットは十分にあると言えます。

参考:ニーズに応じたラミネートフィルムのご提供
   吸湿レーザースティック
   モイストキャッチ

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