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フィルムの貼り合わせ方法

包装の豆知識のコーナーにようこそ!
今回は、「フィルムの貼り合わせ方法」がテーマです。

これまで様々なプラスチックフィルムの特徴をお話してきました。
実際の商品に使われている包装用フィルムは単一素材だけを使用するだけはなく、いろいろな素材のフィルムを貼り合わせて使用されています。

貼り合わせて使用する理由は、以前の記事でも少し触れていましたが、内容物の保護や取り扱いの利便性、各種情報の表示などの機能を満足させるために、性能・品質・コストのバランスを考慮すると適切な素材を貼り合わせる方が、効率が良いためです。

では、どのようにしてプラスチックフィルムを貼り合わせているのでしょうか?
プラスチックフィルムを貼り合わせる方法は数種類ありますが、主な方法は「ドライラミネート」と「押出ラミネート」の2種類となります。


ドライラミネート

まずドライラミネートについて説明しますと、これは単純にフィルムに接着剤を塗って貼り合わせる方法です。

例えば2枚のフィルムを貼り合わせたい場合、接着剤はそのままでは粘度が高くて塗りにくいので、いったん有機溶剤で希釈し粘度を下げ、貼り合わせる一方のフィルム表面にグラビアコーターという装置を使って塗っていきます。

その後、乾燥オーブンを通過させて、有機溶剤分を飛ばし、フィルム表面には接着剤分しか残っていないようにします。そしてもう片方のフィルムと重ね合わせて加熱ロールを使って圧着していきます。

ドライラミネート

ドライラミネートの優れている点は、接着剤の種類が多く、さまざまな素材同士を貼り合わせることができることです。また、貼り合わせ力の強さが欲しい時や、耐熱性が欲しい時など、その使用条件に合わせて接着剤を選ぶことができる点もあります。

一方で、注意する点として、ひとつは乾燥オーブンを通過する際に乾燥が不十分だと、有機溶剤分がフィルムに残ってしまう(残留溶剤)ことがある点、もう一つはドライラミネート用の接着剤は反応型のため、貼り合わせ直後は接着力が発現しておらず、十分な接着力が出るには24~72時間ほど一定の温度下で静置する(エージング処理)こと必要になる点です。

一見エージングの時間は無駄なように思われるかもしれませんが、ドライラミネートにおいてエージングは包装用フィルムの性能に直結する最も重要な工程なのです。

押出ラミネート

次に、貼り合わせ方法のもう一つである「押出ラミネート」は、接着剤の代わりにフィルムとフィルムの間に高温の樹脂を押し出して貼り合わせる方法です。

この押出ラミネートで使用される主な樹脂はポリエチレンです。
例えば、フィルムAとフィルムBを貼り合わせたい場合、このAとBの間に高温でドロドロにしたポリエチレンを押出して圧着→冷却することで【フィルムA/ポリエチレン/フィルムB】といった構成の状態にしていきます。

また、フィルムCの片面側にポリエチレンを押出すことで【フィルムC/ポリエチレン】のような構成にすることもでき、この場合のポリエチレンはシーラントフィルムとしての機能も持ちます。

押出しラミネート

押出ラミネートの優れている点は、エージング処理が不要である、残留溶剤の懸念が少ない、13~40μmで任意の厚みで樹脂層を形成させることができる、等の点が挙げられます。

一方で注意する点としては、貼り合わせることができる素材がある程度制限される、フィルム同士の接着力や耐熱性・耐水性などはドライラミネート品よりも劣る、などです。


このように包装用フィルムを作る際は、製品に求められる要件から包装フィルムの性能を決め、その性能を十分発揮できるよう貼り合わせる素材や貼り合わせ方法などを選定しています。

参考:ニーズに応じたラミネートフィルムのご提供

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