包装の豆知識のコーナーにようこそ!
さて、今回取り上げるのはPTPについてです。
「PTP」って何?
PTPとは「Press Through Pack」の頭文字を取った呼び名で、「押して取り出す包装体」です。プラスチックシートなどでポケットを形成し、そのポケットに錠剤などを入れ、アルミニウム箔のような破れやすい素材でフタをした形態のものになります。
皆さんがよく目にするのは錠剤やカプセルが封入された医薬品だと思いますが、食品分野においても健康食品やお菓子などでも見かけます(粒チョコレートやヨーグルト味タブレットなど)。

「PTP」の特徴は?
あげるとキリがないですが、基本形状で特に優れているポイントは次のようなものが挙げられます。
- 錠剤に対して、袋製品と比べると非常にコンパクトな包装サイズである
- 内容物を個別に包装することで独立性を確保し、尚且つ任意に複数個分をまとめることができる(例:10錠/シート、14錠、21錠・・・)
- 分割線が入っていることにより、分割も簡単
- 非常に高速で包装が可能(例:8000錠/分のスピードで包装が可能。10錠シートなら1分間に800枚、1時間で48,000枚)
「PTP」が日本に入ってきたのはいつ頃?
1960年代中頃(昭和40年頃)に、西ドイツからPTP包装機が大手製薬会社に納入され、これ以降に素材開発や包装機の国産化が進み、普及していきました。

西独ハッシャー社製全自動PTP機(1966年(昭和41年2月)
カナエ大宮工場1Fに設置された。
国内で9機目となる。
「PTP」の今後
PTPが国内の医薬品包装に導入されてそろそろ60年が過ぎようとしています。
薬剤・薬効の種類増に伴い、素材の開発や包装機能の改善などを繰り返し行われてきましたし、中には「脱PTP」を謳った包装形態の開発も行われきました。
しかしながら、いまだにPTPに置き変わるような包装形態は現れていません。それくらい包装形態としては完成したものであると言えるでしょう。
ただし、以前から環境問題への対応をどうするかは言及されておりましたが、昨今の社会状況をみると、いよいよ何かしらの対策が具体的に必要になってくると思われます。
例えば、使用材料の脱プラスチック化や再生可能な素材への変更、リサイクル化を考慮した素材の採用やリサイクルシステムの開発、薬剤の投与頻度を下げることによる包装全体の削減(1日3回投与 ⇒ 1日1回もしくは1週間に1回)などが考えられます。



PTPのマテリアルリサイクル処理
当社は、PTPを構成するプラスチックとアルミ箔が貼り合わされた廃材のマテリアルリサイクル処理を実施しています。